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2006年2月から4月で南極・南米を周りました。7大陸訪問達成!連絡先は以下でお願いします yuheihosono@hotmail.com
by yuheihosono
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2006年 06月 01日 ( 1 )

天国までの100マイル

浅田次郎の小説に「天国までの100マイル」というものがある。

バブル崩壊で成金から一文無しに転落してしまった男の
母親が突然倒れ、心臓につながる大動脈に深刻な問題があり
手の施しようがない事態であることを知る。

絶望の淵に立たされた男に、母の担当医が千葉県の鴨浦という
田舎町に世界で最高の外科医がいて、彼の心臓バイパス手術が
最後の希望であることを伝える。

救急車は県をまたいでの搬送ができないため、男は瀕死の母親を
自分の車の荷台にのせ、東京から千葉の田舎町まで100マイルの
道のりをドライブし、母の命を救うと言うストーリーである。

明らかに、僕が昨日訪れた千葉県鴨川にある亀田総合病院を
指すものである。

さすがに、全国の受診したい病院トップの
常連だけ会って、医療を患者へのサービスとする視点に満ち溢れている。
外来棟の入り口には二人の患者誘導係が立ち、更に建物の中には
コンシェルジェのデスクがある。受付のロビーも広い開放的な空間で
中央の広間にはエスカレーターが4回まで連なっていく、ホテルかデパートに
きたような印象を与えてくれる。

何よりすばらしいのは、眺望。
6階建ての病棟の高層部からは、蒼く輝く太平洋と
弓なりに続く海岸の景色がすばらしい。

そんな美しい風景を見ながら、肩の診察を受けようとした正にその直前に、
母から留守電が入った。折り返しても繋がらないので、叔父に電話すると、
イギリスから帰ってきた従妹が電話に出てきた。

祖母が脳梗塞を発症し、非常に危険な状態であること。
仮に乗り切ったとしても、言葉を話せるようになる見込みは無いことが伝えられた。
居合わせた4人の祖母の子供達からは、回復の希望の無い場合延命処置は
行わないということで、合意は取られたとのことだった。

小説で最後の希望として描かれた病院にいる、正にその時に、
自分の肉親が絶望的な状況であることを聞く。

もし、祖母が運び込まれたのがこの病院だったのなら、ひょっとしたら
違う結果になっていたのかな、、、蒼く輝く太平洋を見ながら、
詮無き考えが頭に浮かんだ。

千葉の鴨川から多摩の病院に直行した。
たった一日お見舞いに行かなかっただけで、病状は激変していた。
酸素供給濃度100パーセント、心拍42、血圧最大値160、自発呼吸なし。
今まで回復に向かっていたすべての数値が悪化を示していた。
一日一日、大切に大切に積み重ねてきたものが、壊れてしまった。

脳梗塞で動かなくなったからだろう。それまで祖母につけられていた、
拘束用のグローブがはずされていた。
保育園の時、毎日迎えにきてくれた祖母の手を、四半世紀ぶりに
ぎゅっと握った。むくみがひどくて、僕の手よりも大きくグローブみたい
になってしまっていた。
今までありがとうね、、、それが、精一杯伝えられることだった。
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by yuheihosono | 2006-06-01 10:18 | 日常