ヨーロッパ周遊旅行記 第九日目 熱狂前夜@シエナ |
2006年8月15日 イタリア・シエナ 今日はイタリアで最もよく中世の町並みが 残された町といわれるシエナを訪問。 大学時代、友人の友人にシエナという女の子がいた。 その子の両親がイタリアを訪問した時に、あまりの美しさに 娘にシエナという名前をつけたのだという。 その鮮烈なエピソードが頭を離れず、さほど日本では有名でない シエナというのは、いつか訪れたい都市として心の中に残っていた。 シエナの町は、中世ゴシック様式の建築といわれ、 15世紀の町並みが、外観は完全な形で残っている。 ベネチアもフィレンツェが壁が白色の建築物で統一された、 洗練されたにおいを感じさせるのに比べ、シエナは教会以外は 屋根も壁も徹底して赤レンガの町並みで、どこまでも、 500年前のよい意味で寂れた匂いをかもし出している。 そして、町の中心にある100メートルの高さの塔に登ってみると、 この町の持つ真の素晴らしさが分かる。 シエナの南の方角には、トスカーナの丘陵地帯が広がっている。 日本で言うなら美瑛のような、牧歌的でなだらかな丘陵地帯が 地平線までどこまでも続いていくのである。 それは、僕らがヨーロッパの田園風景と聞いた時に思い描いた 風景そのものだった。 この周囲の風景と町並みの完璧な調和こそ、他の町にないシエナの かけがえのない財産なのである。 今日のシエナの町は、一年のうちでもごく特別な一日である。 シエナでは、明日パリオと呼ばれる地区対抗の競馬レースが行われる。 実に800年以上の歴史を持つ伝統的なレースで、シエナ内での居住区 毎に分かれて行われるものである。 ただ現代のスポーツとしての競馬レースととらえると、事の本質を見誤る。 この競馬は、中世の蛮風を色濃く受け継いだ伝統行事で、各地区ごとの 代理戦争と言ったほうが正しい。 パリオには現代の概念としてのフェアプレー精神は微塵もない。 レース中に騎手同士が鞭で殴りあったり、馬をぶつけて相手を落馬 させることは日常茶飯事である。 更には、ライバルを蹴落とすために、他の地区の騎手を買収 してライバルの妨害をさせることことも「合法」として 認められていることである。 スタート前には騎手の間での互いの買収合戦が延々数十分続き、 スタートができないことすらある。 文字通り、勝利のためなら手段は選ばない。勝利こそ正義。 これがパリオの精神である。 救急車送りは当たり前、死者が出てもやむことのない、この中世の 蛮風を色濃く受け継いだパリオは、ロンリープラネットの「世界で 最も熱狂的なイベントの第二位」に認定されるイベントである。 (一位は、スペインの牛追い祭り) では、アムロ、行ってきます! |
by yuheihosono
| 2006-08-18 06:17
| ヨーロッパ周遊旅行記
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