南極・南米旅行記 第15日目 南極でキャンプ |
<2006年3月10日@南極半島Neko Harbour-Paradise Harbour> 南極大陸でのキャンプから帰ってきた。 感想は、寒かった、です。 はい。 とっても。 ブリーフィングで受けた説明では、 「夜中はマイナス5℃ぐらいにしかならないから何とかなるはず。 でも南極大陸の気候は変動するから保障はできないよ。 後夜中のゾディアックの移動は危険を伴うから、 中途半端に寒いからといって帰れないので気合を入れるように」 というなんともいえないブリーフィングを受けて僕らは 南極大陸の小島に上陸してそこで一晩を越すという形となった。 キャンプの形式は、テントをはったりはせず、 露天で雪の上にマットレスを敷いてその上に寝袋を敷いてねる という極めて簡素な形である。 僕はインド人のカップルと近くで寝ることになったのだが、 彼女たちは明らかにくっついているからあったかそうだが、 独り身の僕は雪の上に寝袋が一つぽつんとあるだけ。 何かあったら凍死するのはおれだけではないか? 心だけではなく、身まで凍えねばならぬとはひどい話だ、 と思いながら近くでいちゃつくカップルを尻目に寝袋に入った。 はじめは良かった。 寝始めたときは寒いとは感じなかったのだが、 夜中の2時を過ぎた頃、あまりの寒さに目を覚ましてしまった。 どう考えても寒いです、はい。近くの氷河が崩落して、 海に落ちていく地鳴りのような音が頻繁に聞こえてきた。 自分は南極にいてキャンプをしている。。。 アフリカでジャングルの中でキャンプをしたとき以来の 超現実的な感覚である。 まどろみながら朝の6時の起床時間になり、 みんないっせいに寝袋から這い出してきた。寝袋から出たら、 みんな必死で寝巻きからスキーウエアを着込む。 寒さが厳しいのでチームリーダーからみんなを一刻も 早く母船に収容する旨指示が出る。 いや、日本だったら本当に実行できない企画だわ。 セキュリティには万全の計画を練っているのだろうが、 それでもよく南極でキャンプするなんて考え付くなと、 さすがアウトドア大好きなオーストラリアの会社である。 キャンプから帰ってきて自分の部屋に戻ってくると、 窓の外がピンク色に染まっているように見えた。 あまりにも非現実的な美しい色だったので、 寒さの後遺症で幻覚でも見ているのかと思ったが、 朝焼けの反射した色だということに気づいて、 急いでデッキに飛び出した。 南極大陸の山脈の裏側の空を太陽がピンク色に染めているのが見えた。 今まで見たことのないような、なんともいえない美しいピンク色に空が輝き、 その色を周囲の海が氷山をたたえながら映し出していた。 シャッターを押しても押しても、衝動が止まらない。 この感動をどうやったら伝えられるのか、、、 自分の胸の高鳴りを止められない、 自分の人生でも最良の朝焼けの一つだった。 午前の活動で初めて、南極大陸への上陸を果たすことになった。 しかも、南極半島の旅行のハイライトの一つである パラダイスハーバーでの上陸である。 パラダイスハーバーは南極半島の数ある地形の中でも 最も美しい湾という評判があるところである。 残念ながら空は朝焼けの20分だけで、再び雲に閉ざされてしまって、 太陽は分厚い雲の隙間を塗って、薄い雲のペールの 上からしか見えなくなってしまった。 でも、それが、まるで月明かりのようにパラダイスハーバーの 水面に映し出され、白と灰色しかない モノトーンの世界に実に素敵に映えた。 この日の午後はさらに忙しかった。 Neko Harbourというところに移動しクジラの追跡に移った。 すぐに、Minky Whaleを発見し、Zodiacで追跡。 10メートルぐらいの至近距離で次々と浮上するのを追いかけることが出来、 人生で初めてクジラを至近距離で見ることが出来感動! でも、それ以上に事件だったのは、 豹アザラシのペンギンのハンティングが見えたことであった。 陸地側に上陸していたチームから咽んで、 豹アザラシがペンギンを捕獲したという一報がはいったため 現場に急行すると、まだペンギンは豹アザラシから逃げようと 必死にアザラシの口の中でもがいている。 豹アザラシは、ペンギンを口にくわえ、猛烈に水面にたたきつけている。 速すぎてシャッタのフォーカスが追いつかない。 (ので友人が別の機会に撮影したものを拝借して掲載)。 強烈なスプラッシュが数分間に渡って続き、ペンギンは水面下に消えていった。 BBCが豹アザラシの捕獲を撮影に来た際は数週間で一回もみれなかったという 逸話があるぐらいレアなものが、眼前で繰り広げられた。 本当にこの南極旅行はあまりにも多くのことが 次々と起こっていくので消化不良になってしまいそうである。 これで、空が晴れてさえくれればどれだけの人生屈指の撮影ができていることか、、、 モノトーンの世界しか撮影できないことが本当に悔やまれる。 青い空、碧い海、輝く氷山、、、 早く色のついた形で、この世界で最も美しい土地を撮影したい。。。 |
by yuheihosono
| 2006-07-09 08:57
| 南極・南米旅行記
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