南極・南米周遊記 第14日目 ペンギンと氷山 |
2006年3月9日@南極半島Portorockroy 今日も完璧な曇り空。 出航した5日以来完璧な曇り空である。 南極の曇り空は、高度200メートルぐらいのごく低いところに 霧のような雲が地平線と水平線の彼方まで垂れ込めている。 南極大陸の冒険者達は、この切のような雲と灰色の雲と 見渡す限りの氷の世界に閉じ込められてしまうと、方向感覚が全く なくなり遭難してしまう、見た目以上に恐ろしい雲なのである。 今日は、イギリスの基地を訪問後、 これまでよりも一回り大きいペンギンのコロニーを訪問。 次第にペンギンの扱いになれてきた参加者たちは、 どれだけペンギンと触れ合うかということを競争し始めた。 一応南極の観光の基本的な決まりとして、 野生動物たちには5M以内には人間のほうから 近づいてはならないという決まりがある。 このため、ペンギンの方から近づいてくるのを待つしかないのだが、 今日は究極の接近を見た。 ペンギンのほうから近づいてくる分には5MはOKとのことなのだが、 腹ばいで寝ていた女性にペンギンからのって来たのだ。 これに対抗すべく僕の友人の一人がまったく同じように寝そべったところ、 別のペンギンが乗ってきた。 非常にすばらしい光景、南極旅行をするものなら誰もがあこがれるような ペンギンとのふれあいの瞬間、、になるはずだった。 その感動的な風景に一味そえるべく、 僕は彼女にお土産として買ったペンギンを渡して 本物のペンギンとお土産のペンギンを横に添えて 写真を撮ってもらうようお願いした。 ところが、ここで感動的な風景に唯一の手違いが発生してしまった。 彼女のおなかの上に乗っているのは さきほどの子供のペンギンと違い、親ペンギンだった。 そしてちょうど3月は餌付けのシーズンでもあるため、 親ペンギンは人形を子供ペンギンと勘違いし、 その人形に餌付けの行為に走ってしまった。 ペンギンの餌付けは親ペンギンが苦労して取ってきたお魚を消化して 子ペンギンにマウストゥマウスで与える大変美しい行為だが、 ペンギンから出された餌(げ×)は受け取り手のないまま下で 待ち受ける彼女の体中にばら撒かれてしまった。 かくして人間とペンギンとの美しい思い出写真になる予定が、 笑劇の事件簿になってしまった。 午後は、早速アナウンスでHampbuck Whaleが2頭見つかったという 報告が入りみな母船で30分ほどクジラを300メートルぐらいの 距離をとりながら追跡した。 そして、さらに近距離で観察するためZodiacに乗り込むことになった。 ただ、残念なことにこの日は昨日以上に海が荒れていた。 そして、僕はZodiacの先頭に乗っていたために、 南氷洋の凍結ぎりぎりの冷たい波しぶきを全身に浴びて 身も心も凍結しそうだった。 結局、クジラはこのタイミングでは見れなかった。 クジラ発見の報告が無線で母船から寄せられたが、 到着した頃にはすでに移動してしまった後なのである。 クジラはZodiachの2倍のスピードで移動できる。 だからクジラを観察できるのは、 クジラが人間に気を許しているときだけなのである。 クジラは観察できなかったが、芸術的な美しさの氷山を いくつも間近に見ることが出来た。 船のクルーが氷山の美しさを口々に語っていたが、 実際にマジかで見ると偶然に作り出されたとは思えないような、 氷の城が目の前に聳え立っていた。 高さは優に10階建のビル以上の大きさがあり、 人間が乗っても余裕であるかのように見える。 そして、その氷の芸術品に上陸して内部から 撮影を行いたいと本当に心から思った。 だが、氷山は水面上に現れているのは全体の10パーセント程度でしかなく、 その水面下の氷とともに氷山が波の動きで激しく動くので、 氷山のちかくはものすごい波しぶきでとてもではないが近づけない。 なので、残念ながらロングショットのみでの撮影になってしまった。 南氷洋の水しぶきを体中に受け、びしょぬれになりそうに なりながら戻ってきたが、今日の夜はスペシャルアクティビティが 用意されていた。 それは、南極大陸に上陸してのキャンプである。 しかも、このキャンプはただのキャンプではない。 テントとかが用意されない、寝袋だけで一晩を過ごすキャンプである。 参加者がお金持ちのおじいさんおばあさんなのに、 そんなことをさせてしまっていいのか? 朝冷たくなっていたらどうするんだ? という日本であればとても決行されないような企画であるが、 そもそもが南極に行こうという時点である意味いっちゃってる おじいさんおばあさんたちである。 全体の7割がこのキャンプに参加してきた。 詳細は明日のレポートで。 |
by yuheihosono
| 2006-07-09 08:10
| 南極・南米旅行記
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